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小説の墓場

剣舞の錬金術師 第一話「レッドアイの溶解事故」

第一話「レッドアイの溶解事故」

 

Fate/stay night鋼の錬金術師とのクロスオーバー。マイルズ小佐にエミヤシロウが併存してしまうことに。

 

文中の<>は心の中の会話です。

 

******

 

北方司令部にある要塞がある。そこは、北の巨大国家ドラクマを防ぐために造られた、要塞ブリックスである。ここは弱肉強食の世界。弱き者は強き者の礎となる厳しい掟の世界だ。そんな所に異変がこれから起きようとしている。

 

 

ブリックス山にまたがい、ダムのように建設された要塞は、異様な形となっている。この要塞を指揮するのは、オリヴィエ少将だ。ブリックス要塞司令官である。彼女がブリックスの厳しい世界を体言していると言えるほどに、厳しい性格をしている。

 

その側近の一人としてマイルズという小佐がいる。彼は、イシュヴァール人の血筋が流れており、先の殲滅戦にて軍部の意図から少しだけ逃れていただけで、殺害計画から除外されていた幸運の男である。

 

彼が今、オリヴィエ司令官の司令室で、ブリックス山の深部に存在する珍しい鉱石について談義している。

 

「なあ、マイルズ。この鉱石はどのような使い道があると思うか?」

「はい。これは、溶解して機械鎧(オートメイル)の表面をコーティングすると耐寒作用を持たせることができると聞いたことがあります。昔はその産出で街が潤っていたと歴史書で読んだことがあります」

オリヴィエ「そうか。それは良いものだな。その製造方法はわかるか?」

「はい。溶解方法など祖父が研究していた研究書があるので、それを読めば製造方法がわかります」

「おう。そうか。では、マイルズ、貴様にレッドアイの抽出実験を任せる。科学者のスタッフを二人ばかり部下につけよう。よろしく頼むぞ」

「はっ。了解しました」

 

オリヴィエは、内線電話で武器製造スタッフ室へ電話をかけた。

 

「はい。武器製造スタッフ室です」

「私だ。主任研究員のトードはいるか?」

「はっ!お呼びいたします。トードさん、司令官がお呼びですよ!」

「・・・・・・司令官、参りました。トードです」

「今日の午前中にブリックス山の地下より産出された、鉱石、レッドアイの溶出実験をマイルズの指揮下で、人員二人の研究員と共にやってもらう。その人員配置を命じる」

「・・・了解しました。小佐に的確なスタッフを派遣します」

「よし、ただちに実施せよ」

 

ガチャリ・・・・・・

 

「では、マイルズ。よろしくたのむぞ」

「はっ!了解しました。退室いたします」

 

マイルズは、司令官室を後にし、自室にいったん向かい、祖父の研究書を持ち出し、実験室に向かった。

 

マイルズ<ここで家族の遺失物が役にたつとわな・・・>

 

実験室には先にトードから派遣された二人のスタッフが来ていた。女性スタッフのレインと、男性スタッフのケンブリッジだ。彼らは、老いた主任研究員のトードの継承候補である優秀な研究員だ。

 

コンコン・・・・・・

 

マイルズが実験室のドアをノックした。

 

「どうぞ」

 

ガチャ・・・・・・

 

「マイルズ小佐だ。今回、実験の監査役を任されることになった。よろしく頼む」

「はい!レインです。よろしくたのみます」

「・・・どうも。ケンブリッジです」

「よろしく頼む。・・・・・・これが私の祖父が研究していたレッドアイに関する研究書だ。これで溶解に関する情報は入手できる」

 

テーブルの上に三冊の研究書をのせた。

 

「たった三冊なのですか?そこまで研究が進んでいるのですね」

「ああ、研究書ではあるが、解読する必要のない研究書であるからだ」

「どれどれ・・・・・・?塩胡椒を適量に、フライパンでかるくあぶって、料理人のワインを適量いれる・・・ってこれ解読する必要があるじゃないですか。錬金術の研究書みたいなものじゃないですか?」

「いや、さほど難しいレベルではないのでな、解読する必要がないと言ったのだ。レッドアイは、石炭などと同じで、生物の死骸などが圧縮された状態で形作られたものらしい」

 

それまで黙りであったケンブリッジが話し始めた。

 

「そうなると、料理人のワインとは、血のことですね?」

「ああ、そうだ。・・・ケンブリッジと言ったな?君は聡明だな。次期主任候補と言われることの事はある」

「いえいえ、初歩の錬金術はできるものですから」

「えー・・・そんなこと、初めて聞きましたよ!ケンブリッジさん、酷いなー」

「何を言うか。レイン。君の絶対記憶スキルを駆使すれば、解読するのは容易いことだろうよ」

「ふむ。本題に戻って良いかな?」

「ああ、すいません。マイルズ小佐。解読するのに少々時間がかかりますが、良いでしょうか?」

「うむ。わかった。よく読んでおいてくれ。実験は2時間後に行うことにする。それまで私は実験の道具を揃えておくよ」

「あ、手伝いますよ。実験室は私たちにとっては庭のようなものですから」

「では、頼むぞ」

「はい!」

 

マイルズとレインは実験室倉庫に向かった。

 

実験室に一人になったケンブリッジは、三冊の研究書を入念に読みつつ、メモを走らせた。

 

<塩は、そのままに塩化ナトリウムだな。胡椒は生成時に必要な沸騰石のものだろう。そして料理人のワインは人間の血。なぜ血なのかはわからないが、それを、フライパンに蓋をし、少しだけ蓋をあけて水蒸気を放出する・・・・・・つまり蒸留させてつくるということだな。その蒸留物がレッドアイの溶解物となる・・・ということで間違いなさそうだ。後の二冊は、他の手段で生成する方法だな。ならば、この蒸留方式を採用することにしよう>

 

この読了時間で、1時間半ほどかかった。

 

一方、実験室倉庫では、マイルズとレインが実験器具を準備していた。

 

「蒸留器具を一式準備だ」

「はい。了解しました。蒸留器具は、えーっと、Dの棚ですね」

「これか。これが一番大きいものか?」

「はい、そうですよ。溶解媒体である血の水分と蒸留物をそれぞれ分立させるようにできています」

「そうか。ならばそれを用いよう」

「他に何か必要なものはありますか?」

「そうだな。血だが、媒介とするには少なすぎるので、私の血液と同じものを救護室から、とってきてもらえるか?」

「えっ・・・・・・小佐の血を使うのですか?」

「ああ。監査役として重要生成物の原因となる血には私の血を使うこととする。血液型はAB型だ」

「そうでしたか。了解しました。行ってきますね」

 

レインは救護室に向かった。

 

「さて、この器具で大丈夫なら、蒸留時間まで時間があるな。少々休眠するとしよう」

 

マイルズは、30分少々、仮眠することとした。昨夜から激務で一睡もしていないからだ。

 

彼が寝ている間に、レインは救護室から小佐の権限を使い、AB型の血液パックを入手して実験室倉庫に向かった。

 

「ただい!・・・ま、戻りました・・・あれ、小佐仮眠中なんですね。起こさないように・・・っと」

 

レインは実験器具を持って、実験室に向かった。器具をテーブルの上に置くと、彼に言った。

 

「ケイン、解読終わった?」

「・・・・・・ん?ああ、レインか。10分前に終わったよ。持ってきた器具の通りに蒸留方式の説明だったよ。他の二冊は他の方法で生成する方法だった」

「へー。メモ見せてくれる?」

「ああ、いいぞ」

「・・・ふむふむ。へー。ほー。簡単な溶解液をつくるんだね」

「そうだ。覚えておけよ」

「うん」

「もうじき二時間経つな。小佐は?」

「ちょっと仮眠をとっているよ。もうじき起きることだと思う」

「そうか。司令官の側近だもんな。大変だよな」

「そうだよね。研究員は研究していればいいだけだけど、いつも緊張の中で頑張ってくれているからね。実験道具はそろったから、小佐を呼んでくるよ!」

「ああ。よろしくな」

 

レインは実験室倉庫へ向かった。ちょうどそのころ、マイルズは起き出した。

 

「くっ・・・やはり一睡もしていないと頭が鈍るな。だが少し軽くなったようだ。時間はもう実験の時間だな」

「マイルズ小佐!・・・おはようございます!」

「おお、レイン研究員か。起こしに来てくれてありがとうな」

「はい!さあ、実験準備はもう済みましたよ」

「よし!実験を行おう」

 

マイルズとレインの二人は、実験室に移動した。そのころ、実験室ではケンブリッジこと、ケインが火元と血液以外の素材の投入を終えていた。

 

「ケイン!準備は終わった?」

「ああ。後は血液の投入で大丈夫さ。小佐。血液はどうするのですか?この血液パックでしょうか?」

「それは希釈液として使う。私の血液を最初の一滴とする」

「そうですか。了解しました。メスです。これを使っていください」

「ありがとう。使わせてもらう」

 

メスを手渡されたマイルズは、丸底フラスコに人差し指を軽く切って、血液を一滴、入り口に垂らした。

 

「これでよし。レッドアイが溶解するまで待とう」

「はい!」

 

しばらく経つと、だんだんとレッドアイが溶解し、ぐつぐつと煮えてきた。

 

「では、血液パックを投入します」

 

ケインは小佐と同じ血液型のパックをフラスコに投入した。

 

それまで少ない血液で沸騰していた液体が血液パックの投入により、より沸騰音が高くなった。徐々に、蒸留液が別のフラスコに貯まりだした。

 

「これが、蒸留物か。研究書にあったように赤く光っているな」

 

マイルズは、生成された蒸留物をまじまじと見ていた。

 

「そういえば、小佐。この蒸留物を何に利用されるのですか?」

 

レインは質問した。

 

「これはな、耐寒作用が強いので機械鎧のコーティング材に使うんだ。だが今日がその実験として生成するので、まだ本採用ではないのだがな」

「へーすごいですね。この石にそんな力があるんですね」

「あとは、そうだな。まだ未知なる要素が多いのでその実験でもある」

 

そう話していると、全て蒸留物と水分に分立、完了した。しばらく放置し、冷めたところで、レインが蒸留物が入っているフラスコを器具から取り外した。

 

「う〜ん。なんかゼリー状の生成物ですね。これをコーティング材に使うのですか。溶けにくそうですね・・・っと、はっ・・・はっくしょん!!」

 

大きなくしゃみをしたかと思うと、レインは持っていたフラスコを宙に放り出してしまった。

 

「!!」

 

瞬間の間だったが、マイルズがそれに手をだして、受け止めようとした瞬間、中の内容物が放出され、それがマイルズの口の中に入ってしまい、衝動的にマイルズはそれを飲み込んでしまった・・・・・・

 

バリンッ!

 

「・・・!・・・うっクカハッッッッッッ!」

 

赤い光がマイルズを覆い、光が放った。

 

「大丈夫ですか!?小佐!」

 

レインが心配で声をかけても、苦しみ悶えるマイルズをその場にいるケインすら、助けることもできなかった。

 

それが1分ほど経った後、苦しみ悶えていたマイルズは落ち着きを取り戻した。すると・・・・・・

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!・・・・・・」

 

せきを切ったように謝りだした。それは致し方ないことだった。レインのせいでフラスコが宙に舞い、生成物がマイルズの口の中に放り込まれてしまったからだ。

 

「・・・い、いいのだ。レイン。監査役の私の不注意だ。今のところ、何も不都合はな・・・い・・・!!」

 

ドキン・・・と大きな心臓の鼓動を感じたかと思うと、マイルズの心の中で変異が起きた。

 

<なっなんだ・・・この鼓動は・・・何かが俺の中にやってくる!?>

<・・・・・・召還に従い参上した・・・・・・ん?これは心の中か?>

<誰だ、貴様は!?>

<私は英霊エミヤシロウという者だ。それにしてもここは、君の心の中かね?>

<そうだ・・・で、エミヤと言ったな、君は何者だ!>

<そうそう、あわてる必要はあるまいて。私は本来は実体化する存在なのだが、なぜか君の心の中に現界してしまったようだ。なに、心の中での談義なのなら、心配することはあるまい>

 

「くっ!レイン!鏡はどこだッ!」

「は!はい!奥の部屋にあります!」

 

マイルズは、急ぎ足で奥の部屋の洗面台に向かった。

 

「・・・なっなんだとぉ!」

 

鏡に移っていた二つの瞳は、左が赤で右目がくすんだ灰色であった。

 

<この目はなんなのか、説明しろぉ!>

<ああ、それはだな。一人間の内に私を召還した影響だ。なに、心配するほどでもあるまい>

<くっ・・・まあ、確かにエミヤが言うとおりに、君が敵対するのではないのなら、大丈夫か>

<・・・そうだ。冷静に考えるんだ。君は司令官の側近なのだろう?その立場を忘れてはいけない>

<ん?その情報はエミヤは知らないはずだが?>

<なに、君の情報を一方的に共有しているものでな、知ることができるのだ>

<そうか。では、ここに住まうのならば、エミヤ、君の情報を提供してもらおう>

<ほう。いい事だ。私はある別世界にて英霊として活躍していた、英雄のなれの果てだ。私は魔術を使うことができる>

<魔術?錬金術のようなものか?>

<ふむ。まあ、この世界では錬金術のようなものだが、魔術の定義は、錬金術を体系の一つとして包括するものだ。しかし、私の魔術は錬金術や魔術の基本原則である等価交換の原則を見方上は無視して、武器を錬成できるのが売りだな>

<うむ・・・私は錬金術については基礎的な知識しか持ち合わせていないので、詳しい分析はできないぞ>

<ああ、その程度でいい。無理に理解せずとも、そのうち見るようになるさ>

 

<その内に見るようになるとは、どういうことだ?>

<つまりは、こういうことさ!>

 

「身体を共有して使うことができるのさ!」

 

「ん?どうかしましたか?マイルズ小佐!」

「いや、大丈夫だ。問題ない」

 

<なんだとぉ?身体の共有ができるのか?>

<そうだ。スーツに着替えるように、身体の共有権が与えられている。つまり、マイルズ、君にもしもの危機が迫ったとき、私が代わりにでて魔術の行使をすることができる。また戦闘時には、無限の弾薬を補充してやろう>

<そんなことができるのか?>

<ああ。それが、英霊を召還するという本来の役割だ。マスターを守護する存在がサーバントである私の役目だ。本来は、聖杯戦争という戦争で召還される存在が私だからだ>

<そうか。すまないな。こんな世界に、しかも私のような存在に召還されて・・・>

<何を気を落としている。しっかりしろ。これから司令官に実験結果と、事故の結果を報告せねばならないだろう?マイルズ、君はオリヴィエ司令官の側近だろう?強く雄々しく進め。気高かい側近のように、主人のために様々な視点を与える存在だろうが!>

 

<すまぬ。そうだったな。エミヤ、君は俺であり、俺は君であるのだからな。つい遠慮してしまった。これからは二人で行くのだからな。心配する必要はないな>

<そうだ。マイルズ、これからは君をマスターと呼ぶことにする。君なら私の夢も実現できるだろう>

<エミヤ、君の夢とは?>

<そうだな。研究報告の前に話しておこう。私の夢は、正義の味方になることだ>

<・・・・・・>

<・・・・・・>

<正義の味方だと?正義は、相対的な価値観ではないのか?どういう正義のことだ?>

<ああ、全てを救うことが正義の意味だ>

<全員を救済すると・・・?それは味方だけの救済ではないのだな?>

<ああ。全てだ。悪も善も一人の例外もなくすべてを救済するのが私が追い求める存在だ>

<そうか。しかし運が悪かったな。俺は軍の人間だ。侵略をするというのならば、殺人行為をしなければならない。それは避けては通れない道だ>

<しかし、マスターが救える命の分は、救えるだろう?>

<俺にできる範囲ならな>

 

<それでいい。一度にたくさんの命を救えるのならば越したことはないが、まずはマスターができる範囲で協力してもらいたい>

<相棒の夢なら、しょうがないな>

<相棒か。私を評価してくれてありがとう>

<当然のことだろう?これから頑張ってもらわなければ、ならないのだから>

<了解した。ではマスター、まずは隣の部屋で心配している部下を助けてやってくれ>

<了解した。エミヤ>

 

マイルズは、奥の部屋から戻ってきた。

 

「小佐!大丈夫でしたか・・・?」

「ああ、心配ない。心配をかけたな。レイン」

「だ、大丈夫でしたか。よかったー」

 

へなへなと倒れるように、レインは膝をついた。

 

「心配しましたよ、マイルズ小佐・・・」

「いや、すまない。私は大丈夫だ。以前より力が沸いてきているほどだ」

「そうでしたか。・・・ふー良かった」

「そこまで心配することはないだろう。この実験で責任を負うのは私だから、私に起こったことを幸運と思えばいい。弱肉強食のブリックスだ。そうしなければ、割り切れないだろう?」

「はっはい!ご指導ありがとうございます!」

「はい!」

「では、この実験結果報告をオリヴィエ司令官に報告する。ああ、大丈夫だ。レインのことは伏せて、私が誤って飲んでしまったことにしておくさ」

「あ、ありがとうございます!命がつながりました〜」

 

そうして、実験室を後にし、自室に戻り、報告書の作成にとりかかった。

 

「ふーっ。さて、これからどのような報告書を書くのかが問題だな・・・」

<何、私がその報告書を作成しよう。マスター>

<エミヤが?>

<ああ、そうだ。マスター。マスターの主であるオリヴィエ少将は、抜け目が一切ない女傑なのだから、起きたことをできるだけ正確に伝えなければなるまい。レインのことがあるから、マスターがくしゃみをしてしまい、レッドアイの生成物を誤って飲み込んでしまったことから、書きはじめ、私エミヤシロウという別人格の存在が心に住み込んでしまったと書けばいい>

<しかし、実証はどうするのだ?証拠がなければ、ただの妄想として片づけられてしまうだろう>

<大丈夫だ。君は錬金術師ではないのだろう?ならば、私が表面にでて錬成すれば、別人格が存在している証拠になるだろう>

<そうか。そうすればいいのだな。ならそう書くことにする>

 

しばらくして、マイルズは実験報告書を作成し終えた。

 

「くっ・・・胸の鼓動が激しくなってきた。いつもの緊張より緊張しているのだが」

<大丈夫だ。もし万が一、言えなかったら私が表にでて話そう。安心してくれマスター>

<ああ、了解した・・・・・・安心させてもらおう>

 

マイルズは司令官室に向かった。胸の高鳴りに緊張しながらも、安心して扉の前まで来ることができた。

 

コンコン・・・

 

「誰だ?」

「マイルズ小佐です。実験報告書ができましたので、提出と説明に来ました」

「入っていいぞ」

「失礼します」

 

マイルズは、報告書をオリヴィエ司令官に手渡した。

 

「で、どうだったのだ?」

「はい、実験は成功したのですが、その後事故があり、生成物を飲んでしまいました」

「!飲んでしまったのか?・・・大丈夫なのか?」

「いえ、嗚咽や吐き気がありましたが、三分ほどで治まりました。しかし、思わぬ効果がおきました」

「思わぬ効果とはなんだ?」

「ここから話すことは、すべて真実だと思ってください」

「何をいうか、マイルズ。側近として貴様のアイデアはいつも私の参考になってきたのだぞ?それを忘れたとは言わせぬぞ?言って見ろ。すべてだ!」

「はい。その効果とは、私の心の中に別人格の男が住み始めたのです。しかも錬金術師なのです」

「・・・そうなると、マイルズ自身が錬金術を使えるのか?」

「いえ、その男が私の主導権を握ったときに行使することができます」

「そうか。では実証しろ。戯言ではない証明をしてみろ」

「では、交代いたします」

 

マイルズは、顔を垂らし、少しの秒数経過したあと、顔を上げた。

 

「はじめまして。私はエミヤという、魔術使いです。マスターの命によりマスターの身体の主導権を握らせてもらっている」

「マスターとは、マイルズのことだな。その証拠を見せて見ろ!」

「了解した」

 

するとエミヤは、立ち上がり、手を虚空に向けたかと思うと、小さい声で"トレースオン・・・"と発言した矢先、何もない虚空から錬成反応なしで短剣を錬成した。

 

「!!」

「これが証拠です」

「ほう。すごいものを見たな。数年間マイルズを側近にしてきたが、そのような素振りを見ていなかったから、信憑性はあるな。エミヤと言ったな。他にはどういうことができるのだ?」

「はい。弾薬の無限充填ができます」

「ほう。どういう原理でできているのだ?私は錬金術には疎いので細かいことはわからぬが、わかりやすく説明しろ。すべてをだ」

「御意に。私が使うのは魔術という錬金術をも包括する体系の使い手です。その中でも魔術エネルギーの運用を理想的な空間で実現する、使い手であり、刀剣類の錬成を特異とする担い手です。その空間をどこでも強制的に発動することができ、その空間上では私が絶対的優勢な力を発揮することができます」

「ほう。その空間上に我々が存在した場合は、何か恩恵があるのか?」

「はい。魔術的サポートができるので、無限の弾幕を錬成することができます」

「ほう。それはすごいな。軍隊規模の運用方法ができるのだな?」

「そうです。しかし、最大でも10分くらいしか継続できないので、使うときは十分に練ってください」

「それは当然だ。10分もあれば、戦局は十分に変えることができる。すごい力だな。ぜひ、実践投入する前に見ておきたいところだ。その実験をしてもらうぞ?私が信じている期待値を越えて見せよ」

「了解いたしました。実験は、吹雪が弱まる明日の午前中、10:00くらいがいいでしょうか?」

「そうだな。その時間ならば、演習時間だな。特殊演習時間として設けよう」

 

「はっ。退室させていただきます。実験室にもどり、研究員に研究をたくしてきますので」

「マイルズに戻ったのだな?では、この件は私との秘密にしておこう。エミヤとよく話し合っておいてくれ」

「はい。了解しました」

 

退室し、実験室に向かっている。

 

<ふー。どうにかなったな。ありがとう。エミヤ>

<心配なかっただろう。マスター。そういえば、この世界の錬金術は、国家資格があるのだな?>

<ああ、そうだ。中央司令部で国家資格の試験を行っている>

<ならば、私が受けたいのだが、いいだろうか?>

<国家資格を?そのためには試験勉強もしなければならないぞ?>

<大丈夫だ。明日の私の秘策をオリヴィエ少将に見せれば、国家資格を受けさせてもらえるだろう>

<そうか。提案することはしたらいいな>

<試験は私がうけよう。試験勉強をするために、マスターが本を持ってきてくれたら、私がその情報を"登録"して、熟読させていただくよ>

<登録?私が読まなくていいのか?>

<ああ、魔術で登録することで原本がなくても大丈夫なのさ>

<そうか。了解した。魔術は便利だな>

<ああ>

<さて、明日のために実験を早く終わらせ、休むことにしよう>

<そうだな>

 

そうして、レインとケインに研究を任せたマイルズは、早めの就寝をし、明日のエミヤが行う特殊演習に備えた。

 

 

>>第二話

 

 

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久しぶりに3000文字を越える文章をつくりましたね。強引ですが、作っちゃいました。これからどうするかはまだ検討中ですね。タイトル的にはもうどこに行くかは決まっていますけど。。。