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小説の墓場

剣舞の錬金術師 第08B話「旅は道連れ」

第08B話「旅は道連れ」

閑話だが、ブリックスの生態系の強化になるだろう。頼もしい人材が揃っていく。これだけで一作品できてしまうほどなので、エルリック兄弟のストーリーと両軸の話として展開していく。また、ここにさらに錬成魔陣口座受講者がらみの軸が加わり、三軸展開となる。原作のようなボリュームの高い展開規模を目指していくので、どうか着いて来てほしい。

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マイルズは、夕方の待ち合わせ時間まで、ゆっくりランチを食べにカフェ街に来ている。ここには多くのカフェが連なり、持参しているガイドマップにも多くの店が掲載されている。

「ここが、ルマンドだな。ここにしよう」

そして、席に座り、ウェイターが来るまでまっていた。すると、先ほどからマイルズを直視している人物がいた。薄々感づいていたが、あまりにも直視しているので、直視の魔眼でも発現しているのではと思ったほどだ。

マイルズは、サングラスのまま、目線の方を見た。するとそこには、サンダルを履いた女性が、雑誌と私を交互に見ていた。となりには屈強な大男がいる。さて、まさか。また、ラッシュメイルがらみか?と思っていた。

それから数分たったあと、ウェイターがやってきて、注文をした。イーストシティ名物とカフェオレを注文すると、さきほどまで直視してきた二人がこちらにやってくる。サングラス越しに見ただけだが、真剣な眼差しでやってくる。女性が語りかけた。

「すみません、もしかして、エミヤシロウさんではないでしょうか?」
「・・・ふむ。いえ、私はマイルズ中佐です」
「そうでしたか、すいません。人違いでしたね。うっ、かはっごほっ!」
「大丈夫か。イズミ」
「大丈夫よ、あんた。生体技術でこの身体を直せれば、この痛みとはおさらばできるんだし」

<エミヤ、なにやら事情があるようだぞ?言ってやったらどうだ?>
<うむ。そうだな>
<目の前の人を助けるのが正義の味方だろうに>
<わかった、わかったよマイルズ。事情でも聞いて見るさ>

「なにやら、事情があるようですね・・・さきほどの答えは嘘です。私こそエミヤシロウに違いありません」
「なぜ嘘をつかれたのですか?」

旦那である大男が言った。

「エミヤシロウは別名であり、本来の私は国家錬金術師です。あまり国家錬金術師に良い印象はないでしょう?」
「たしかに、そうだね。あんた、もう大丈夫だよ。それで、マイルズさん、不躾な質問ですが、生体技術で臓器の代用はできるのでしょうか?」
「そうですね。できることはできますが・・・」
「ぜ、ぜひ、お願いします。お金の準備は大丈夫ですから!」
「そうですね。ここでは、詳しい説明は、あれですから、食事がすみましたら、東方司令部にて詳しい事情を解説してもらえますか?」
「はい。食事の邪魔をしてしまいましたね。すみません」
「いえ、いいですよ」

マイルズは、オーダーした料理をすばやく食べ終えると、カフェを後にした。そして、カーティス夫妻を東方司令部の談話室に招待した。

「この部屋ならば、いいでしょう。それで事情を詳しく聞かせてください」
「はい、私、イズミ・カーティスは、錬金術師なのですが流産で子供を亡くしているんです。それで・・・その・・・禁忌を犯しました」
「人体錬成ですか?」
「はい。私たちはそれまで一向に子供が作れなくて困っていたのです。その矢先、流産してしまって目の前が真っ暗になりました」
「そうですか。それで代償の身体の一部を持って行かれたのですね?」
「はい。そうです」
「人体錬成で持って行かれた身体の一部の代わりを生成するのはできますが、本来の機能を復活させることは、できない可能性があります」
「えっそれは、どういうことですか?」
「人体錬成は、真理の扉を開けてその代価に身体の機能を差し出すという等価交換を有します。それゆえに、本来の臓器は扉のある空間に居る、真理の存在に吸収されているのです。もちろん、例外もありますが」
「まるで、見ていたかのような説明のようですが、エミヤさんも見てきたのですか?」
「その質問にはお答えしかねます」
「・・・そうですか・・・国家錬金術師だからですね」
「代用品ならば、ご提供できます。代用品と言っても、疑似的機能と血管をめぐらすことだけのものですが、持病は解消するでしょう」
「その作成時間は、どれくらいかかるでしょうか?」
「そうですね。髪の毛から培養して、60日くらいには作成することができます」
「そ、そんなに早くできるのですか?!」
「ええ、しかし、人体実験の成功例はまだ0なのです。動物実験は100%成功していますが」
「その第一号になっても、どうか、お願いします」
「それでは、その実験室は、私が所属する北方司令部・ブリックス要塞に来てもらわないとできません。診察所は開院していませんので」
「それでも、お願いします。ブリックスには昔言ったことがあるので、大丈夫です」
「そうですね。では冬服をここで調達して、夕方の6時に、イーストシティ駅南口で落ち合いましょう」
「はい、ありがとうございます!」

午後3時になった。それから、カーティス夫妻とわかれて、マイルズは、東方司令部の司令官グラマン中将にタッカー氏の移管の報告書を出しに言った。

コンコン・・・

「誰かね?」
「マイルズ・アインシュトー中佐です。綴命の錬金術師ショウ・タッカー氏の北方司令部への移管の件のレポートを提出しにきました」
「おお、マイルズ君か。入りたまえ」
「はっ!」

マイルズは入室すると、先に席に座っているグラマンに一礼をした。
「いいの、いいの、そんなに堅くならなくてもね。もっとラフにいこうや」
「はい。では」

マイルズは席に座り、レポートを手渡した。それをさっそく読むグラマン
「ふむふむ。おもしろいね。人語を介せる青いネズミね。そして生体研究者として、ブリックスで研究したいから、誘ったのかい?」
「はい。あちらでは研究員を募集していたので、タッカーさんがこられるのであれば、研究が進みますから」
「ふむ。にしても何か隠しているようだね?マイルズ君?君の事を簡単に調べさせてもらったよ。月刊誌ラッシュメイルにて、生体技術研究者として生体人形なるものをつくれるそうじゃないか」
「はい。それは本当です。私が保持するユニークスキル、錬成魔陣の手法によるものです」
「そうそれ、確か、通信講座をやっていると聞いているけど、わしにもできないだろうか?」
「いえ、もう締め切ってしまったんですよ。軍務もありますので最大でも5人が限度ですから」
「そうか、残念だね」
マスタング大佐も受講者の一人ですから、大佐に聞いてもらえれば、大丈夫かと思いますが」
「そうか。マスタング君が受講しているのか。それならそうと早く言いたまえ」
「失礼しました」
「わしも魔法が使えればもっと女性にヌフフとできるだろうからな」
「まあ、魔法によると思いますが、まあ、いいでしょう」
「よし、タッカーの件は了承した。移管を了承する。北に戻るのだな?」
「はい。夕方の6時にタッカー氏ともう一組を連れて帰還します」
「そうか。了解した。では行っていきたまえ」
「はい」

そして、マイルズは退出した。

一人残ったグラマンは、北にパイプができたことに嬉しそうに笑った。

「よし。これでいいぞ。ヌフフ」

何を考えているかは詳しく追求しないでおこう。

そして、運命の午後6時。駅前の広場には噴水があり、そこが多くの人にとって待ち合わせの場所になっている。

先に待ち合わせの時間にきたのは、タッカー親子だ。ニーナの頭にはクーリンがのっている。そしてアレキサンダーを連れてきた。タッカーは両手に購入した袋を持ちながら、大型のリュックサックを旅行鞄として背負っている。

「ニーナ、まだエミヤさんは来ていないようだね」
「うん。あーきれいな噴水!お父さん、近くに行こうよ!」
「ああ、わかったよ、ニーナ、そんなに急がないでくれ」

そして、カーティス夫妻が噴水広場にやってきった。ニーナの姿を見て、流産しなければ、あのくらいの子になっていたのを思い返していた。

「あのくらいの子になっていたのにね・・・」
「イズミ、もうすぐそれが夢でなくなるのだから、気を確かに持て」
「あんた、ありがとうね。そうよね私らしくもない」

夫妻は熱い抱擁で互いの思いを確かめ合っていた。

ようやく、そこにマイルズがやってきた。

「あ、エミヤおじさんだ!おじさん、こっちだよ!」
「・・・あら、知り合いだったの」

マイルズことエミヤは、ニーナを持ち上げて抱いた。
「たかい、たかーい!キャハハハ!」
「エミヤさん、その子は?」
「お、イズミさんも来ておられましたか。この子は、こちらの綴命の錬金術師、ショウ・タッカーさんの娘さんです」
「どうも。はじめまして」
「てっきり、私らだけかとおもっていたので・・・」
「旅は、多い方がいいですから。タッカーさん、こちら、カーティス夫妻です。私の生体人形の実験に協力していただくことになりました」
「イズミです。よろしくお願いします」
「俺は、シグです。どうも」
「よろしくお願いします。カーティスさんもエミヤさんに救われたのですか?」
「ハハハ。そうです。私らの希望ですよ」
「私もです」

マイルズは、ニーナを降ろすと、四人と二匹に向き合った。

「では、行きましょう。6人分の客室をご用意しましたので、大丈夫かと思います。アレキサンダーはクーリンに任せたので、ささ、列車に向かいましょう」
「はい!」(四人)

そして、セントラルを経由してノースシティに向かう3時間の列車の旅だ。道中、暖かい場所から寒い場所に移るので注意が必要だ。

客室に到着した。アレキサンダーにはクーリンがついている。荷物室にいるが大丈夫だろう。

そして、客室での会話だ。

「イズミさんも錬金術師なのですか?」
「ええ、まあ、しがない錬金術師ですよ」
「国家資格をとれば、その事情とやらの解決になりそうなものですが・・・」
「いえ、本来の錬金術師は、国民の為に存在しているはずですので、その考えと国家錬金術師は相容れないので、私はなりません」
「そうですか。失礼しました。私はそう強くはないので、国家資格でもとらないと真っ当な錬金術さえできないのですから」
「それぞれ事情があって、資格をとるのですね」
「ええ、私は合成獣の権威と巷では言われていますが、成功例は数少ないんですよ」
「あ、聞いたことがあります。人語を介せるキメラだとか?」
「はい。最近というか今日の成功例が居るのですが、ノースシティについたら紹介します」
「楽しみです。娘さんがかわいい寝顔ですね」
「はい。二年前に妻を錬金術の実験で亡くしていまして、そのあどけなさが瓜二つに思えて、立ち直るキッカケを作ってくれました」
「そうでしたか。ならば、これからは娘さんの笑顔のためにも、がんばらないといけないですね?」
「はい!そうですね。守りたい笑顔があるのはすてきなことだと思えます」
「お二方。これからブリックス方面に後1時間ほどでつきますので、寝ておいてください。道中ではブリザードの影響で眠くても眠れないですから」
「わかりました」

そして、マイルズ以外は睡眠休息にはいった。マイルズは、エミヤと交換して休息に入っている。

<これからだな。エミヤ>
<ああ、これからが楽しみな時間だ。少将の人物眼が気になるところだが、その試験をクリアしてもらわなければなるまい>
<カーティス夫妻は大丈夫だろう。問題はタッカー氏だが、さきほどの会話を聞いて、情熱がタッカー氏の心の中に生じたのならば、心配することはなかろう>
<ふむ。そうだな。情熱がなければブリックスでの生活は送れないからな>

新たな生き方が四人を迎えようとしている。厳しいブリックスの北壁で。


次回以降につづく。


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作成完了ですねぇー。どう組み合わせるか悩みましたが、こういう結果に落ち着きました。エミヤシロウの人望スキルは高いようです。これでブリックス組は出揃いました。

エルリック兄弟の師匠でもあるイズミ・カーティスが早々にオリヴィエ少将に会うというのは、前々からやってみたかったタッグです。原作では、スロウスとの対戦で打倒しているので、それを早めるための出会いになる。

ニーナは、殺伐とした軍務のおいて、癒しになるだろう。

ショウ・タッカーは、外見は静かな冷静な姿勢を持つが、内面には鋭い性格を有している。冷酷な性質は、時として冷たい刃物を思わせるが、決断を迫られる状況になった場合、生きる手段となる。ブリックスでは有用な性格である。